京都国立近代美術館で、没後50年藤田嗣治大回顧展が催されていて、今日が初日でした。平日だけれど初日なので、結構大勢の人が鑑賞していました。平安神宮のあるこの辺りは観光客の多いところ。遠足の子供達の行列もみえました。
(近代美術館前の平安神宮の鳥居)
人生の大半をフランスで暮らし、最後にはクリスチャンにもなり、フランスの国籍も得ていた藤田嗣治。最後の伴侶、藤田君代さんは、フランス国籍のまま日本で暮らしていたのだけれど、2009年に死去されているとか。芸術家らしく女性関係も賑やかな履歴、君代さんで5人目。藤田嗣治は、81才でこの世を去り、日本政府から勲一等瑞宝章の勲章を授与されたのでした。
面長の顔に丸渕メガネ、オカッパのような前髪の自画像は有名ですよね、見たら「あーこれね」っと、一度は目にしたことがある絵だと思います。裸婦像など乳白色の肌色が藤田嗣治の特徴と言われています。確かに展示の裸婦像など見て回っていると、不思議な肌の色合い、乳白色の肌が画面に描かれていました。こってりとした油絵ではなく、さらっとした感じで、勝手な私的印象を言えば、日本画のような風合いを感じました。
(突き当りは平安神宮)
猫が好きなのか、自画像にも横に猫がいるし、裸婦像にも周り中猫という作品もありました。猫だけが10匹以上でしょうか飛び跳ねたり躍動感が、画面いっぱいに描かれている物など。。。
しかし、1940年に日本に帰って来ていたようで、第二次世界大戦の日本の戦い、戦争絵画も描いていました。戦争絵画というのが敗戦後GHQに睨まれたのか、1949年、63才の時に日本を出国してフランスに戻ってしまい、69才でフランス国籍を取得し、日本国籍を抹消した藤田嗣治。
(隣にある京都府立図書館 歴史はかなり古い)
こうして今は日本人の画家として超有名な藤田嗣治も、その芸術的な人生に於いては、貧乏や苦労は付き物です。一つの道に到達するというのは、凡人には並大抵のことではないですし、苦労をすれば名声が得られるという確約もあるわけでもなく、時代の欲求と上手く合致した時、初めてスポットライトが当たるという、なかなかに芸術の道は厳しいものですから。
(文庫本 自画像の一つです)
今回120点もの、まとまった量の藤田嗣治の絵を見ることが出来て、ホントに良かったです。売店では第34回大矢壮一賞受賞作の藤田嗣治「異邦人」の生涯の文庫本を買って帰りました。さぁー読んでもっと知りましょう藤田嗣治画伯。